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真砂佳明

龍神村森林組合 代表理事組合長

組合長室の窓(1/600)
〜600あまりある森林組合のとある1組合長の部屋〜

森林組合Q&A

2019.12.12  

和歌山県龍神村森林組合の組合長をされている眞砂さんに、ソマノベース運営から色々と質問させていただきました!

知っているようで実は良く知らない、森林に関する代表的な組織である「森林組合」について見ていきましょう!(ソマノベース運営より)

はじめまして。
和歌山県の龍神村森林組合で組合長をしています眞砂佳明(まなご よしあき)と言います。
令和元年12月現在おそらく全国で一番若い常勤組合長です。(と言ってももう51歳ですが)
縁あってこちらで記事を書かせてもらうことになりました。

今後、これまでの経験や思うことを書いていきたいと思いますが初めてなので、森林組合についてソマノベースの方からの問いに答えたものをそのまま上げさせてもらいます。

組合長をしているとは言え、よくわかってない事や思い違いがあるかもしれませんが、その時は逆に教えていただけたらと思います。

それでは、どうぞよろしくお願いいたします。

森林組合Q&A

・森林組合には誰 (どんな人)が入っているの?
森林組合は森林所有者がお金を出し合い(出資金)作っています。
私のところは784名が92百万円余りを出資しています。
組合員は所有者なので、必ずしも山仕事をしている人とは限りません。
現在はむしろ山仕事をしたことがない組合員が多くなっています。比率は分かりませんが今や圧倒的に多いと思います。
働いている人は組合員である必要はなく、森林組合が人を雇って組合員向けにサービスを提供しています。

・森林組合はどんなことをしているの?
山に関わる仕事ですが森林組合によって事業範囲はまちまちです。
ほとんどの組合では、山に木を植える植林、植えた木を育てる下刈りや間伐といった保育事業をしています。
植えた木を収穫する伐採の事業(林産事業)を実施する組合も増えてきています。
さらに私のところの組合では、伐り出してきた木を販売する丸太の市場(共販所)、製材所も持っていて、山造りから製品販売まで行っています。



先日行われた市場の競りの様子(動画)

・森林組合はどこにあるの?
元々は森林のある各市町村にあったのですが、最近は組合の広域合併が進んでいて、複数の市町村をまたいだ範囲を管轄する森林組合があったり、また逆に市町村の合併が進んだところでは、1つの市の中に複数の森林組合がある場合などもあります。

・森林組合はいつからあるの?
これはこの質問に答えるにあたってネットで調べました(笑)
官製の組合は戦前からあったのですが、昭和26年の森林法改正で現在の形、加入・脱退の自由と運営の自治を原則とする協同組合となりました。

・森林組合はどういうキッカケでできたの?
最初の経緯はよくわかりませんが、戦前に強制加入のものがあったのが、戦後になって加入・脱退自由な現在の森林組合になったと聞いています。うちの組合は昭和40年にそれまで村内に3つあった森林組合が合併して、龍神村森林組合となり、林業の村の牽引役として現在に至っています。

・森林組合と農協はどう違うの?どう同じなの?
第一次産業に関わる協同組合という点では同じで、森林組合の組合員の多くは農協の組合員でもあったりします。
大きな違いは、農協が農作業をしないのに対して、森林組合は山仕事をするということです。これは農協の組合員は農業者で田畑を耕す人で、森林組合の組合員は木こりをする人とは限らないことによります。

・森林組合にはどんな役職があるの?
組合員ー出資金を出している森林所有者、1人1票の権利を持っている。
総代ー総会に代わり総代会を置くことができる。総代は選挙で選ばれる。組合員4人に1人以上。組合員が800人を超える時は特例で200人でもいい。
理事ー役員、会社で言う取締役みたいなもの。選挙で選ばれ定数は5人以上。
監事ー役員、会社で言う監査役みたいなもの。選挙で選ばれ定数は2人以上。
代表理事ー理事の互選で選ばれる。森林組合を代表し通常は代表理事組合長。ほか副組合長や専務理事も代表理事となる場合もある。
参事ー組合職員のトップとしてこの職を置く組合が多い。組合の登記簿に記載される(支配人登記)。

・上記のそれぞれの役職はどのような役割・仕事をしているの?
※総代は総会の代わりに置かれる総代会での議決権を持っています。ただしうちの組合の場合年に1回の総代会に来てくれるか、書面議決を提出するかくらいで、日常で総代を意識する場はまず無いと思います。他所もそんな感じの所が多いと思います。

※理事は組合の経営陣ですから責任は重いです。うちの組合では資金の借り入れを行っているので、実印を押して保証人になっています。ただし、近年森林所有者(組合員)ではあっても実際に林業経営をしている人が減ってしまっており、理事会で林業について議論する場面は珍しくなってしまっています。概ね地区別で選出されているため、地域の組合員さんからの要望や意見を聞いて組合の事業に繋げてくれる事もあります。いかに理事会の活性化を図るか、今後の重要な課題だと思います。

※監事は理事がきちんと経営・運営をしているか見張る役目で、理事会に出席したりまた監査(うちは中間と期末決算時)を行います。うちの組合では3名ですがうち2名が金融機関OBで、貸借対照表の内容をしっかりチェックしてくれます。その中で気付いた事(改善を求める事)について意見を付け、総会(総代会)で監査報告をします。

※代表理事はうちの組合では現在、組合長(私)ともし事故があった場合の為に副組合長(非常勤)がなっています。契約などは代表理事組合長の名前で行われるのが通常です。組合長が常勤の場合と、非常勤の場合があります。

私はかつて非常勤の代表理事組合長の下で、常勤の代表理事専務と言う形で組合に勤めるようになり、その後に常勤の代表理事組合長になって現在に至っています。地域の有力者を組合長(非常勤)に担いで、日常の経営・運営は参事や生え抜きの専務理事が行うと言うのもよくあるパターンで、一概に悪いとは言いませんが、組合が林産や販売など専門的でスピード感を持って行う必要のある事業を行う場合に、一番の責任者が常勤である方が良いのではと思います。

※参事はうちの定款では「参事は、理事会の決定により組合の名において行う権限を有する一切の業務を、誠実に善良なる管理者の注意をもって行わなければならない。」と規定されている職員のトップです。

私は専務の2期6年、組合長になって最初の2期6年は自分が常勤であるので、参事をおかず数名の課長の上に直接自分がいる形を取っていましたが、一昨年県森林組合連合会の会長になり、出張等で不在になる事が多くなるので参事職を置くことにしました。

理事が皆非常勤で、参事を置いている組合も多くあります。

・森林組合に入っていないと林業はできないの?
そんなことはありません。自分の山を自分で管理するのは本来の形です。
私自身も自分の家の山で1人で林業をしていましたが、重機は持っていないので森林組合に作業道を付けてもらったり、補助金の申請や山に使うお金の借入の手続きをしてもらったりしました。自分で林業をする場合も組合員になっているといろいろ便利です。

・森林組合が得意とすることって?
難しい設問ですね。各組合によって違うと思いますが、植林や下刈り、保育の間伐と言った事業はどこの組合も割と得意だと思います。うちの組合は長らく皆伐の架線集材をしていて、10mを超える長木(作業道を使う集材では対応出来ない)とか言った注文材への対応とかも得意分野です。

・森林組合が苦手なことって?
これも難しい設問です。自分の個人的な考えですが、地域代表のような形で理事(経営陣)が選ばれてくることが多く、また、協同組合で利益を求める事を前提にしていないため、商売をするような事業経営をするのは得意ではないように思います。でも、そう言った人材をいかに経営陣に取り込むか、きちんと利益を出しながら経営をしていくかが今後の課題だと思います。

・森林組合での給与形態はどのようになっているの?
※うちの組合の場合ですが、職員が月給制で事務方、共販所、製材加工、林産現場などにいます。そこに作業員として日給月給の人が加わります。また、造林や保育の間伐は出来高制の人で事業をしています。
役員は総会(総代会)後の理事会・監事会で各役員の報酬を決定します。常勤の私は月払いで役員報酬を受け取っていますが、他の理事・監事さんは(非常勤)年度末の3月に一括して受け取っています。
利益が出た場合、組合員には配当をすることができますが、先に述べたように「利益を求める事を前提としていないため」出資金の7%(だったと思います)を超えない範囲での出資配当金と、利用した事業量に応じた事業分量配当をすることが出来ます。残念ながらうちの組合では私が理事になってこの方、配当金を出した事はありません。継続して配当を出している組合は経営状態の大変いい組合だと思います。

・最後にまとめるとすると、森林組合とは?
組合によって違いは大きいですが、日本の林業を考える中では、もっとも大きな存在です。個人で林業をするにしても、林業経営は誰かに任せるにしても大変頼りになる組織だと思います。

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