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大谷 栄徳

樹木医

落葉と紅葉

2019.12.13  

1 落葉の仕組み

樹木は、光・二酸化炭素・水を使って、光合成を行い、生きるためのエネルギーを自ら生産しています。

光合成は「葉」で行いますが、光合成速度は、新しい葉の方が高く、古くなるほど低下していきます。

そのため、適当な時期に葉を落とし、古い葉と新しい葉を入れ替えます。

また、光合成に不適切な季節(冬季)になると、その期間、葉は光合成ができないのに、葉を維持しないといけなくなり、エネルギーの損失が続くことになります。

その損失をなくすため、葉を落葉します。

古い葉と新しい葉を入れ替えるために落葉するのが「常緑樹」、光合成に不適切な季節に落葉するのが「落葉樹」と呼ばれています。

常緑樹と落葉樹の違いは、別の機会にお話しします。

 

樹木は、落葉する時期になると、葉柄の基部に「離層(りそう)」という組織を形成します。



離層ができると、葉に送られる水分や養分の供給がストップします。

しかし、葉の中には、まだ養分が残されています。

残された養分を無駄にしないよう、樹木は、葉の離層が完成する前に、葉の中に残されているマグネシウムなどのミネラルや窒素を回収します。

回収が終わると、葉の色が変わり、風などに吹かれて、少しずつ落葉していきます。

 

しかし、葉っぱの色が変わっているのに、なかなか落葉しない樹木もあります。

よく見かけるのが、クヌギやヤマコウバシ。

このような樹種は、完全な離層を形成しないため、なかなか落葉しません。

特にヤマコウバシの褐葉は、とても目立ちます。



葉が「落ちない」!!

ということで、受験生にとって、ヤマコウバシは「縁起の良い樹木」とされています。

そのため、受験生に、葉が落ちない「ヤマコウバシ」をプレゼントする、そんな素敵な取り組みもあるようです。

 

2 紅葉や黄葉の仕組み

樹木が落葉する過程で、葉が赤色、黄色、茶色に変色し、変色のパターンも樹種によって異なります。



はじめに紅葉。 



葉に離層が出来ると、葉の中に残されたマグネシウムなどのミネラルを回収します。

しかし、糖類(ブドウ糖やショ糖)は、十分に回収することが出来ず、葉の中に残ってしまいます。

この残された糖類が、酵素と強い紫外線の影響によって、「アントシアン」が生成され、葉が紅葉します。


このときに、「アントシアン」が生成される理由は、明確になっていないそうですが、徐々に後退する葉緑素を紫外線から守るためという説があるそうです。

簡単に言うと、葉に残された糖類がアントシアンに変わって紅葉する、ということですね。

 

次に黄葉。



離層が出来て、養分が回収され、緑色(クロロフィル)が退色する過程で、葉の中にもともと存在していた「カロチノイド」という色素が現れて、黄葉します。



アントシアンが作られないので、もともと存在しているカロチノイドが現れて、黄葉しているということです。

 

続いて、褐葉(茶色)。



離層が出来て、葉緑素(クロロフィル・緑色)が減少し、タンニンの仲間である物資が酸化重合した「フロバフェン」という物質の色が現れて、褐葉(茶色)になります。

 

紅葉という現象は、葉が何らかの原因で光合成ができなくなったとき、葉が脱落する前にミネラルや窒素などを回収する段階で起こります。

ほとんどの落葉広葉樹は、気温が5℃以下になると光合成ができない状態になります。

中には、ハゼノキやヤマザクラのように、5℃より高い気温でも、光合成ができなくなる樹種もあります。

また、元気がない樹木で、雨が少なく乾燥した日が長く続くと、光合成することが不利だと判断すると、早々に落葉する場合もあります。

 

一方で、ハンノキやオオバヤシャブシなどのように、緑色が少し退色した状態で落葉する木もあります。





ご覧のように、オオバヤシャブシは緑色のまま落葉します。

このような樹種は、窒素やミネラルなどが回収されない代わりに、限界ギリギリまで光合成を行うという戦略をとっています。

回収するよりも、限界まで光合成をした方がプラス収支になると、考えているんだと思います。

 

一言に樹木といっても、生き残るための戦略が、樹木の種類によって異なっており、落葉の過程で発生する紅葉や黄葉も、その戦略の1つに過ぎません。

アントシアンを生成する樹木もあれば、生成しない樹木もある。

樹木は、決して、無意味なことや無駄なことはしないので、生成する理由があるはずです。

実は、樹木の生態って、まだまだ明らかになっていないことがたくさんあります。

だからこそ、樹木は面白い。

明らかにされていない樹木の生態の中に、森林づくりや林業にある「??」が解明されるヒントがあるかもしれませんね。

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